内向型人間のすごい力
内向型人間のすごい力 スーザン・ケイン著 講談社文庫発行
を読んだので感想を。
人は内向型と外向型の性質を両方持っていて、どちらかの特性が強い。
内向型の人の脳はあらゆることに対して、外向型よりも高く反応してしまう。
外向型の人にとっては程よい刺激でも内向型にとっては過剰すぎるのだ。
外向型の人が休みを友人たちと賑やかな場所に出かけて高刺激を楽しむのに対して、内向型は一人またはほんの数人で静かな場所にて低刺激を楽しむのである。
また、外向型がスピーチや複数人との会話を楽しむのに対して、内向的は一対一のような会話を楽しむ。
最適なレベルの刺激がそれぞれ違うのだ。
それらは生まれ持ったものと後天的に身についたものが合わさってできた性質である。
いろいろな刺激に対して高い反応を見せる赤ん坊の多くは、思慮深く慎重な性格になり、低い反応を見せる赤ん坊の多くは、大らかで自信家の性格になる例が多い。
感受性の鋭さと強い心は表裏一体である。
先天的に内向型の気質を持った人は、内向的な人物に育つ可能性が高い。
高い反応を見せる内向型の子どもは、安定した家庭環境てきちんと育てられれば、低い反応の子どもよりも感情的問題を抱えることが少なく、社会技能にもすぐれる傾向がある。
そうでないと、鬱状態を引き起こして苦しい人生を送るリスクを高めるおそれがある。
高い反応の子どもについては、子育てに手間ひまをかければ、かけただけ報われる。良くも悪くも影響されやすいと言える。
成長しても、高い反応、低い反応の痕跡は消えない。変えるには限度がある。
今の世の中は外向型を重要視している。大きな声で主張する人は仕事ができる人として見る傾向がある。
しかし、内向型は外向型よりも注意深く考えるなど利点があり、決して外向型よりも劣っているわけではない。
内向型が外向型として振る舞うと、自分に嘘をついて過ごすことが多くなる。
自分ではない人間になることが成功への道だと言い聞かせる。これは自己否定である。
自己否定を続けると自分が何が好きなのか分からなくなってしまう。
内向型が自己を守るためには、自分の安心できる場所を確保すること、
子どもの時にやりたかったことや、自分の興味のあることを見失わないことが大切である。
また、一人で集中して考える時間が必要だと訴えること、イベントのために外出する回数は負担を感じない範囲に抑えること、
自分の特性に反して演技したら、そのかわりに残りの時間は自分自身でいるようにする「自由特性協定」を自分自身と結ぶこと。
以上が大まかな本の内容である。
私は内向型が強く出ていると思われる。
休日は家で一人で過ごしたいし、複数人の会話やスピーチが苦手である。
一人の時間、頭や気持ちを休める時間がないと、いっぱいいっぱいになる。
しかし、日本について言うと、外向型と内向型がほぼ半々か、少し外向型が多い程度なのではないか。
皆、細かいところまで気づくし、交渉も上手であり、スピーチも上手くて、気配り上手である。
自分の能力水準が低く、性格、能力が劣っているのではないかと思えてしまう。
自分がそういう人間なのでは、と気づけただけでも良かったが、日本の社会で解決するにはハードルが高い問題だと思われる。